加悦SL広場 レポート(1)
2004年10月5日


○施設概要

所在地:
〒629-2422 京都府与謝郡加悦町字滝941-2
TEL:0772-42-3186
FAX:0772-43-0080


開館時間:4月〜10月 AM10:00〜PM6:00
11月〜3月 AM10:00〜PM5:00
休館日:年中無休
入館料:中学生以上500円  小学生300円 ※小学生以下無料

○1985年に廃止された鉄道資源を活用

 昭和30年代まで、つまりモータリーゼーションを迎えるまで、交通の主役は鉄道だった。それは高速・豪華な幹線の優等列車だけでなく、日本の各地で物流を支えていたのである。現在と当時の地図を重ね合わせてみると、旧鉄道路線が国道やバイパスとなっている地域の多いことに驚かれるだろう。物流の動・静脈、人が移動し集散するための手段、情報を受発信する空間として、鉄道は地域資源を活かすために必須のコミュニケーションシステムだったのである。
 ちなみに、現代の地図はさらに書き換えられていく。いわゆる平成の大合併である。あたかも幕藩時代の「国」に戻っているようでもある。

 その後、自動車という個人の生活範囲の拡大と移動の効率化によって、地方の鉄道はその役割に終止符を打ち、多くは廃線となったのである。

 ここで紹介する「加悦SL広場」の事業主のカヤ興産(株)の前身は、加悦鉄道という地方私鉄で、1985年に廃止となった同鉄道の経営主体であった。加悦鉄道は「大正14年、加悦地区8ヶ村の丹後ちりめん産業を通じた京阪地区との交流、及び村の子供たちの通学の便を図るため、村民823名の出資により設立。翌年、国鉄連絡駅である丹後山田駅〜加悦駅間5.7kmが開業。以後、ちりめん産業の隆盛に加え、昭和14年には大江山にニッケル鉱山が発見され、鉱土輸送のため加悦駅から鉱山駅まで2.6kmを延長して活況を呈した。 昭和20年の終戦とともに大江山よりのニッケル鉱土輸送は停止。モータリゼーションによって昭和60年4月30日のさよなら列車運転を最後に鉄道事業を廃止した」(同社公式サイトより)歴史を持つ。すなわち、加悦町の地域資源=地場産業のちりめん、ニッケル鉱による興隆を命脈としていたのである。丹後地方の、本当に静かな山間の町に鉄道が引かれたのは、このような地域資源あってのことで、鉄道敷設は町のにぎわいを象徴する事業でもあったともいえるだろう。

 同線廃止後、現在の路線跡だが全線がサイクリングロードとして再利用されている。そして、厳しい経営環境となった1970年からは、増収を目的に、旧加悦駅構内のスペースを使って「加悦SL広場」の営業をスタートさせていた。若干の見学料を徴収して、加悦町指定文化財にも指定された非常に珍しい2号機関車(1873年製)、4号機関車(1922年製)等の静態展示を公開していたのである。廃止と共に同広場を旧鉱山駅跡地に移転、これに各地から蒸気機関車、ディーゼル機関車、客車等を集めて、鉄道車両のテーマパーク的な演出を加えた「加悦SL広場」として再整備を行い、1996年にオープンさせたのである。


加悦SL広場MAP
 

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