■国際ブランドで再建進める「シーガイア」

「オーシャンドーム」等、エンターテイメント系施設をスクラップ
シェラトンのブランドとノウハウを注入し、
国内の中・高額所得者向け旅行需要をターゲットに
本格グローバル・リゾート創造に再挑戦


 これまで予想もしえなかった大型倒産の多発、大手企業は倒産しない的な常識が崩壊するなか、2001年2月19日、宮崎・日南海岸リゾート構想の中核で、国内大型リゾート開発の代名詞となっていたシーガイアは、会社更生手続開始の申し立てを宮崎地方裁判所に対して行い、事実上破綻した。
 当時、このニュースは大々的に報道され、「不況がリゾート需要を奪う」「第三セクターの放漫経営」「銀行の不良債権圧縮には特例なし」等、センセーショナルな話題となってマスコミをかけめぐった。中には、シーガイアとハウステンボスを間違って、後者を破綻したと報道した地方紙もあったという。

 それから1年。米国リップルウッド・ホールディングスLLCをスポンサーに獲得、同社の主導の下、スターウッドホテル&リゾート ワールドワイドInc.を運営会社として事業再生を図ることになり、2002年5月、その方向性が次のように発表された。
 『新生シーガイア経営チームは、マーケティング、人事、食品および飲料、レクレーション、客室管理などの各分野での経験およびノウハウを持った専門家がそろっており、シーガイアの今後の事業展開に必要な斬新かつ抜本的な改革ができる人材で組織されています。このチームが持つ商品およびサービス基準の向上に関する明確なビジョン、リップルウッド社が持つ十分な資力により、“世界クラスリゾートの確立”を実現していきます』。

 スターウッドホテル&リゾート ワールドワイドInc.が保有する最大のホテルブランドが「シェラトン」であり、世界67ヶ国で375軒のホテルを経営している。そのブランド・ポテンシャルとノウハウを注入すれば、日本では難しいとされるリゾートビジネス経営をブレークスルーできるという自信であろう。そうした彼らの眼鏡に合わなかったのか、これまで集客コアとして紹介されてきた「オーシャンドーム」は、当面、冬期以外の季節営業施設に格下げされてしまった。代わりに、ゴルフという、グローバルかつ日本でも人気の高いスポーツを柱とする、滞在型ゴルフ・リゾート的な訴求が柱となっている。

 こうしたシーガイアの新しい方向性と具体的な取り組みは後述するが、実は破綻から再生までの間、様々な情報が駆け巡り、事実が歪曲されて伝わった例も少なくない。事業の再構築状況を知るためには、既存資源とその評価、課題分析、当事者の認識等の実状を正しく把握した上、はじめて新しい戦略への理解が生まれる。

 「レジャーパークの最新動向」では:一部マスコミによって虚飾されたシーガイアの全体像を、まずはいったん“棚卸し”をして、会社更生手続きに追い込まれた実情をドキュメントとして整理。そのうえで、再生へのプロセスを確認し、新生シーガイア=「シェラトン・リゾート・フェニックス・シーガイア」の目指す方向を明らかにした。


誌面の一部をご紹介します。


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