9.園内レポート インタービュー終了後、実際に園内を取材スタッフだけで見学した。今回の取材では、同社には日程の調整やインタビューに長時間を割いていただく等たいへんお世話になった。そこで、以下は専門誌として包み隠さず率直な感想を記載したいと思う。運営者とテナントの思惑が異なって、施設全体の活気が失せる例をいやというほど経験した我々としては、第三者の率直な意見こそが精度の高い翻訳システムになりうると考える。当事者が見逃していたのが実はお客様に最も大事なことだった・・・よくある事象である。 まず、エントランス棟である。ここは館内のアプローチ口で、インフォメーション、券売所のほか、ゲートまでの通路機能を果たしている。NHKで放映している「柳橋慕情」の撮影風景などの画像をモニターで流していたほか、ポスターも貼られていた。エントランス棟にはその他、レンタル車椅子、コインロッカー、休憩所などがある。この日は平日だったせいか、ここではそれほどお客を見かけなかった。 エントランス棟を抜けるゲートへの小道には、白い石が敷き詰められ、生け垣が続き、竹や草が植えられていた。小鳥のさえずりや小川のせせらぎが聞こえてくる。すぐ近くの生け垣の奥を覗くと、枯れ草でカモフラージュされたスピーカーからの音の演出であった。別のスピーカーからは町の雑踏や歌声がにぎやかに聞こえてくる。わくわくした気持ちを駆り立てる、現代から江戸へのワープを狙うには効果的な演出である。 |
エントランスのイベントポスター、 モニター ゲートへの小道 正面ゲート |
●江戸ワープ館 大きな木造のゲートを入るとそこが江戸の町である。まず、正面に白壁と瓦屋根の建物が見えてくる。園内の建物はそれぞれが呉服屋や、武家屋敷等の再現である。 最初の「江戸ワープ館」は白いのれんが掛かり、「近江屋」という米屋の看板が出ている。ここは“江戸の町のビジュアル散歩が楽しめる”展示館で、ソニーが手がけている。 のれんをくぐり、建物に入ると早速金魚売りの声が聞こえてくる。内部はそれほど広くなく、3つほどのアトラクションが設置されている。 まずはモニターと大きなマイクがセットされた「江戸の町でショッピング」コーナーへ。これはモニターに映し出された屋台のそば屋や天秤棒を担いだ魚屋などに向かって、マイクで「かけそば1パイ!」とか「いわし!」などと声をかける。すると「へい、かけそばですね、ありがとうござい〜」という声の応答があるといった具合で、当時のショッピングが楽しめる仕組みだ。 ところが、私がいくら声をかけても、バーチャルアキンドたちは通り過ぎて行ってしまう。四苦八苦していると係員の女性が近づいてきて、“もっと大きな声で言ってみてくださいね”とアドバイスしてくれた。しかし何度トライしても「・・・・・・・」。実は男性の声の方が反応がいいとのことで、同行の男性記者が渡来すると一回で成功する。こちらとしてはなんとも面白くない。もう少し女声に反応のいいマイクを使用していただければ、と少し残念である。 この他、同館にはカーナビと映像を組み合わせて当時の街道の様子を紹介している「東海道五十三次ナビドライブ」などがあり、ビジュアルと音で楽しめる工夫がされていた。 |
江戸ワープ館の設定は米屋 「江戸の町でショッピング」 コーナー |
●江戸ものしり館 順路を進むと次の展示館は「江戸ものしり館」である。ここは日立製作所が手がけている、江戸の庶民文化、暮らしぶりなどを紹介するブースである。内部のデザインは油屋の設定である。薄暗い室内のあちらこちらから江戸っ子たちの会話が聞こえてくる。 入口にはベンチのような木の椅子があり、「ここにお座りください」と書いてある。さっそく座ってみると、今度は頭の付近で、江戸っ子口調の男声が何かを説明してくれている。しかし、ボリュームが小さめな上に周囲からの雑音でイマイチ聞き取りにくい。 次のコーナーには厠が再現されており、上からのぞき込むと案の定用を足している人形から「のぞくんじゃねえよ!」と怒られてしまう。つまり、当時のトイレの様子を知ることのできるコーナーというわけである。 その他、壁にはモニターが設置され、当時の庶民の生活や風習の説明をアイドリングしている。自分で操作できるタッチパネル端末も置いてあった。例えば、当時の髪型についての数種類のイラストから興味のある髪型を選ぶ。するとその説明文がぎっしりと表示される。子供には難しい漢字や言い回しも含まれた、大人を対象としたレベルである。子供が「あ、ちょんまげだー」と興味を持ってタッチしたのに、いきなり難しい文章が表れたら、パニックにならないか? 「江戸ものしり館」を出て、お堀にかかる橋を渡ると「高麗門」があり、そこをくぐると江戸城外の風景が広がっている。小さな門と橋で構成されるが、時代劇の撮影に使われるだけあってそれなりのスケールを確保している。 そこから奥へ続くお堀の一部では、10人ほどが膝までスボンをたくし上げて水の中に入り、夢中になっている。大人も子供もいる。ギャラリーも14〜15人いただろうか。何をしているのかと近づいてみると、「江戸城コイすくい取大会」と書かれた看板が立てられていた。それによると、300円で30分、お堀のコイを捕まえることができて、2匹以上捕まえれば「ワープ君人形」、1匹だと「ワープ君キーホルダー」、参加賞は「ワープ君ジグソーパズル」がもらえるというイベントだった。ちなみに捕まえたコイはもらえない。夏休みならではの楽しい企画である。子供たちにはひと夏のいい思い出になるだろう。 |
江戸ものしり館は油屋 高麗門 コイすくい取り大会 |
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