◆訪問レポート 〜銀座ギャラリー〜


銀座ギャラリーの外観

クリックするとレイアウト図が表示されます。
レポートと合わせてご覧になりながらお読み下さい。
 (このレイアウト図は取材時のイメージを起こしたものです。
比率など正確ではありません。ご了承下さい)


 こちらのギャラリーは以前とは外観からしてがらりと変わっている。本社ギャラリー同様にこちらも白を基調とする。外壁は横に溝が刻まれており、素材は砂のような柔らかい石のような、自然の鉱物から作られているように見える。そこで触ってみたら、ざらざらとした心地だあった。これが、前述した寺院の石庭をイメージしたデザインである。時計台と三越と交番のイメージが強い銀座4丁目の交差点の景観ではでひときわ異彩を放ち、誰もの目を引くであろうこのギャラリーは、やはりたくさんの人で賑わっていた。

 入口を入るとすぐ左が受付カウンターである(写真)(レイアウト図−A)。ミス・フェアレディがにこやかに出迎えてくれる。みなさん大変美人である。
 こちらの内装は白とシルバーを基調としたカラーリングである。受付カウンターや壁面は本社ギャラリーと同じく白だが、ディスプレイエリアは床、壁、天井とシルバーで統一されていて、本社ギャラリーとは全く異なる雰囲気である。エントランスの手前に、本社ギャラリーにも設置されていた情報端末が天井から吊り下げられる形で4台設置されていた(写真)(レイアウト図−B)。壁の金属質なシルバーに、その端末のホワイトが映えてきれいであった。

 入ると左壁面にはものすごーく大きなスクリーンが、日産のイメージ映像を流しつづけていた。これが、251インチ大型スクリーンである。また、本社ギャラリーにあったものと同じと思われるプラズマディスプレイも2台、高い位置に設置されていた。そして、銀座ギャラリーにはもうひとつ、特別なプロジェクターを用いて、街ゆく人にも映像が見られるようにショーウィンドウに映写しているという。夜はよく見えるが、残念ながら昼間ははっきり確認することができなかった。
 右は大きな窓ガラスで、銀座通りに面する。街の賑わいがショールームの中にうまく取り込まれている(写真)(レイアウト図−)。
 この1階ショールーム中央には真っ赤な新型スカイラインが展示されており、多くの人が回りを取り囲んで眺めたり、ドアを開けてみたり、シートの座り心地を試したり、ボンネットをのぞき込んだりしている。このクルマの人気の高さが伺えた。床はターンテーブルになっていて、あらゆる角度からクルマを展示できるシステムで、これに多彩な照明機能を備えているのだそうだ。また、スカイラインの左側に「ダットサンU型フェートン」が展示されていた(写真)(レイアウト図−D)。まさにこれぞクラシックカー、というクルマである。
 
 空間内にはベンチがいくつか置かれており、こちらも本社ギャラリーと同様にレモンイエローのカラーリングだった。ほとんどがくつろぎ、クルマを眺める人で埋まっていたが、うち、一組がずっと話し込んでいた。よく見ると一人は女性で、黒いスーツを着用し、ベンチには座らずにしゃがむような形でにこやかに男性に応対している。上品な、とても感じのよい雰囲気で、この女性が「コンシェルジュ」ではないかと思われた。
 1階から上を見上げると、2階の窓が見えるようになっている。2階へは受付カウンターの右脇にある螺旋階段を登っていく構造は以前と変わらない。階段の脇にひっそりと看板が立っているだけで、どういった内容なのか紹介もなく、また螺旋階段はシルバー一色で、神秘的な雰囲気に感じられた。非日常への入口、といったら大げさかもしれないが、ちょっとワクワクさせられた。

 2階にたどり着くと突然、白一色の世界が広がった。本社ギャラリーに一歩足を踏み入れたときに感じた、体が白に包まれる感覚が、こちらは小さな空間に凝縮されておりなおさら強く感じられた(写真)(レイアウト図−E)。
 ここは、本社ギャラリーにも設置されていた「NISSAN DIGITAL GALLERY」コーナーである。最新デザインの情報端末でクルマ情報などが見られるようになっている。ゴーンCOOが大写しになってこちらに語りかけ続けているモニターもあった。これらの映像はヘッドホンで聴けるようになっているのだが、こんな異空間にずっといたら洗脳されてしまいそうだ。でもなんだか居心地がいい。外の喧噪がウソのように静かである。ここにもウォーターサーバーが2台設置されていて、ここでおいしい天然水を飲みながらひとやすみしたらどんな気持ちだろう。落ち着くのか、それともそわそわしてしまうのか。銀座で一人、空いた時間があったら一度試してみたくなる空間である。
 ここは存在があまり知られていないのか、我々が訪れたときには誰もいなかったが、途中で男性が一人、水を飲みに階段を登ってきた。なんのためらいもなくウォーターサーバーへ向かい、水を注いでぐっと飲むとすぐに階段を下りて行ってしまった所を見ると、2階をよく知っている方なのだろう。
 2階は密閉空間だが、1階の様子を見ることができる大きな窓がある。ガラス1枚隔てただけなのに、1階の賑わいと2階の静寂が不思議なコントラストを醸し出している。そこからは大型スクリーンもよく見える。
 



受付。NISSANのロゴが誇らしげに見える



ディスプレイエリアの入り口にはスロープが用意されている。脇には4台の情報端末を設置



大きな窓からは銀座の喧噪が



「ダットサンU型フェートン」



向かいが251インチモニター、左上には2階の窓が見える
手前は新型スカイライン



2階「NISSAN DIGITAL GALLERY」コーナー



モニターの脇に2台のウォーターサーバーを設置



○まとめ

 本社ギャラリーと銀座ギャラリーを続けて訪ねてみたが、本社ギャラリーは広いこと、展示車が多いことなどから、ショールームの雰囲気を強く感じることができる。一方、銀座ギャラリーは、展示車はわずか2台と少ないが2階層のスペース的制約を逆にうまく生かし、1階と2階の雰囲気の違いで変化を付け、メリハリのついた異空間構造となっていた。
 リニューアルしたばかりで、まだ熟成中であることは承知の上で疑問を述べさせていただく。コンセプトである「Imagination Crossing」の要素の1つであるお客様との接点の持ち方についてである。情報端末でのアンケートとコンシェルジュの応対に依存しているが、それだけでは実際にはどれだけの声を吸い上げることがてきているのかは疑問に思える。
 お客様の声を反映するといっても、こうしたショールームでの発言と実際の販売店での応対を受けた場合とではその感性は全く異なってしまうと想定できる。それは「購入」という消費が関係する場合のコンシューマーマインドは、主観的でありわがままであるからだ。シーンによって変貌する消費者から寄せられた多数の声を分析し、何をどのように活用していくのか。この体系化もまた同社のリバイバルプラン完成に欠かせないだろう。

(編集部 池上)


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