4.集客 
 自ら考えたアイデアを次々と具体化

○周辺に観光名所がなく、ルートづくりに活路

 一般客に向けたイベント等の集客策は、コストに見合うだけの成果が得られなかった経緯から、現在は団体客の誘致にシフトしている。
 鹿児島県の発表によると、県内への県外からの入り込み数は宿泊ベースで約800万人となっている。半数はビジネス客だとしても、まだまだ集客できる余地はあると考え、同社なりの集客策を講じている。
 それには、鹿児島の主な観光地の霧島、指宿、鹿児島市内からいかに串木野まで足をのばしてもらうかがポイントになる。しかし串木野周辺は、特に観光名所がなく、周遊コースに組み込まれにくいというデメリットがある。旅行会社にとってはわざわざ離れた観光地に連れて行くのは効率が悪く、避けたがる傾向があるという。そこでなんとかルートコース化できるよう、支配人の田畑氏が考え出したのが前述の「ツルと金の縁起コース」である。

○ツルと鶴で正月の「縁起コース」

 串木野からバスで北へ75分、ツルの飛来地、越冬地である出水はツルの優雅な舞を鑑賞できる地として知られており、ツル及びその地が国の天然記念物に指定されている。ここには「ツル観察センター」「出水市ツル博物館」が設けられており、この地とゴールドパーク串木野を「縁起コース」としてルート化し、団体客を誘致するというものである。

 このルートに、近隣の蒲生八幡神社の日本一の大クスノキを組み込んだルートもある。クスノキを見せて祈願するだけでは料金は取れないため、無料で簡単な祈願をしてもらえるよう神社に依頼して実現したという。これは、ツルと金に加えて樹齢1600年のクスノキのある神社で健康長寿祈願という「縁起物」ルートとして、旅行会社に持ち込んだところ、いくつもの旅行会社が興味を示し、冬場のコースとして実現、定着してきた。
 つまり、ゴールパーク串木野への立ち寄りを営業するのではなく、ルートを考えて旅行会社に話を持ち込めば、新鮮味があるようで反応が早いという。
また、縁起ツアーに「ツルへの恩返し」と銘打ち、ツルがシベリアに帰っていく前にエサを撒きに行くパターンも訴求した。これは新聞やテレビで取り上げられ、好結果につながっている。



縁起コースのチラシ(ダミー版)
○高速カーフェリーで九州西海岸ツアー

 同社支配人・田畑和彦氏の販売促進活動はこれだけにとどまらない。串木野−長崎間を3時間40分で結ぶジェイオーシャン(株)の高速カーフェリー「マダム・バタフライ」が2001年4月に就航した。
 この航路を軸に、鹿児島・長崎に宮崎も組み込んだ「九州西海岸」構想を打ち出して旅行会社に売り込んでいるのである。「マダム・バタフライ」で長崎を9:30に出航すると13:10に串木野港に到着する。それから、ゴールドパーク串木野や他の施設に寄って宿泊地を指宿温泉にしても、夕方までに十分間に合うルートが組める。この提案を船会社の担当者を連れてある東京の旅行会社に売り込んだところ、正式に決まったという。
 しかし、肝心の串木野市との連携はなかなか進んでいないようだ。市の財政が厳しいたらしく、ゴールパーク串木野のエントラス前に広がる空き地に「道の駅」を作らないかと持ちかけ、パースまで書いたそうだが、実現していない。

○一般の集客につながらず、イベントは中止

 オープンから数年はかなりの宣伝費をかけていた。1991年度には、販売促進費(イベント費)が4,500万円、それに伴う宣伝費(イベントの告知代)5,500万円、合計1億円も使っていた。それが2001年度は両方あわせてわずか400万円である。さらに、イベントをやめたことで人件費が3分の1になった。これによって、2001年度は単年黒字に転じた。
 このように、平成11年(1999年)以降、イベントはほとんど手がけていない。以前は施設前の広場で、「ぬいぐるみショー」や「キャラクターショー」といった類のイベントも手がけていたという。しかし、コストがかかる割に一般客の集客にはほとんど効果なく取りやめとなった。マインパークは、観光坑道に入って初めて料金が取れるもので、広場でショーをやっても、それだけ見て帰ってしまう客も多かったのだそうだ。
 さらに、大型量販店の開店時の呼び込みなど、流通業でもこうしたキャラクター系のショーを実施するケースが増えたため、目新しさもなく、小規模だと人は集められない背景もある。
 一方、夏休み時に子供の集客を見込んで、観光坑道に動く恐竜の模型を設置するイベントを実施して、これはそれなりの集客効果があった。ただし、地底まで手作業で恐竜の模型を運ぶのに手間がかかりすぎるため、最近は手がけていない。


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